溺愛王子様のつくり方
「日曜なのに大変だね」


「しゃーない。これも副社長の仕事だ。18時にホテルの前で。遅れんなよ?」


「うん、わかって……っ」



返事をしようと顔を上に上げると、チュッと軽く口付けをされた。



「も、もう……」


「休みなのにいないお詫び?じゃあマジでいくわ」



そう言うと、学くんはドアを開けて出ていった。



「もう……」



熱くなった頬を両手で覆いながら、リビングへ戻る。

今日は、日曜しか相手いない人への接待がはいってしまったとかで学くんは休日出勤。

5LDKもあるこのマンション。
二人でも広いのに、1人だとなんだか寂しく感じる。

こんな暮らしずっとしていなかったあたしにとって、このマンションはなんだか落ち着かない。

学くんにとっては普通であって、しかも狭いほうだとかいってる。



〝でも、将来子供が生まれた時のためにこのくらいの部屋数は必要だろう〟
なんてことをあっさりと言ってくるからあたしの心臓は常に騒がしい。

< 49 / 189 >

この作品をシェア

pagetop