溺愛王子様のつくり方
「俺に似てるのって、その紙に書いてた相手でしょ?」


「……っ」



あたしのポケットを指さすタマに言葉が詰まる。



「あはは、図星なんだ」



面白そうに相変わらず笑っているタマ。



「もう、笑いすぎ」


「なんかワケあり?俺でよかったら話聞くよ。あんまり知らないやつになら話せたりするんじゃない?」



優しい眼差しで見つめられる。



「結婚したと思ってたら結婚してなかったみたい」



こう言葉を紡いでみても、まだしっくりとこない。
学くんがなぜこんなことをしたかったのか。
その理由がわからないからしっくりこない。

でも、弱いあたしはその理由を聞くこともせずに逃げている。
聞きたくない現実からは目を背けたくて。



「相手が出してなかったってこと?」


「みたい。一緒に出しにいったはずなのに」


「え?どうやって出さなかったの?それ」



タマが首を傾げる。

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