放課後は君と2人で



あたしは無理矢理、自転車のカギを蒼衣先輩の手に握らせた。


「それじゃ、また明日」


そう言ってその場を逃げるように走り出した。


「ちょっ、秋元さんっ」


後ろで蒼衣先輩があたしを呼ぶ声が聞こえるが、一切振り返らず走り出した。


家までノンストップで走ってきたので息が上がって「ただいま」もろくに言えない。


玄関のドアに体を預けて少し息を整えた。


「ただいまー」


「あら、早かったわね」


「まあね」



お母さんがキッチンでご飯の準備をしていた。


その後ろ姿をみていたら…


「お母さん、手伝うよ」


「珍しいわね、夏帆が自分から“手伝う”だなんて言うの。

せっかくだからタマネギむいて」


「はーい」



福島先輩にお弁当を誉めてもらってから少し料理に興味を持ち始めた。


今までほとんど自分のお弁当なんか作った事無かったけど最近は少し早く起きて作るようになった。


それに図書館で少し料理の本や栄養についての本に目がいくようになった。




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