エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先生はそう言うと、私をギュッと抱きしめた。彼の温もりがあれば、頑張ることができるから。

「先生、せっかくのお休みですから、私の仕事の話はもうやめましょう。先生に話したら、だいぶスッキリしました」

「そうだな。じゃあ、どこか出かけようか? せっかく天気がいいのに、もったいない」

「でも、疲れませんか? ただでさえ、先生は毎日忙しいのに」

体を離し、彼を見つめる。すると、優しく額を指で弾かれた。

「久美と過ごす時間を、疲れると思うわけないだろう? 決まりだな。ドライブに行かないか? 今日は、港でイベントが開かれている」

「イベントですか? 楽しみです!」

なんのイベントだろう。心が踊りそうになる。ワクワクしながら支度をすると、駐車場へ向かった──。


「ヨーロッパの市場をイメージしているらしく、陶器や花、それに果物や野菜など、いろいろなものが売られているらしい」

車を走らせながら、先生がそう説明してくれた。そういえば、テレビCMで観た気がする。

「素敵ですね。私、食器が欲しいかな……」

「いいんじゃないか? シンプルなものばかりだから、きみの好みに合わせてくれていい」

「本当ですか? 私が決めちゃっても、いいんですか?」

先生が持っていた食器は、たしかに白色のシンプルなものばかり。それが、彼の好みだと思っていたけれど……。

「構わないよ。むしろ、久美が変えてくれたら、嬉しい。あの部屋も、少しは華やかになるだろうから」
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