続*もう一度君にキスしたかった


好き、とまではいかなくても、気になる後輩くらいの気持ちだったのかもしれない。
自分の身に起きたことを話して、心を許せそうな存在に手を伸ばしかけていたのかもしれない。


気持ちの程度は私には計れないけれど、好意を寄せていたのは確かだろうと感じる。


木藤さんはそれを口に出さなかったし、私からもそれ以上、何か言うつもりも何もなかった。


これが、私の戦い方だ。


ただそっと、朝比奈さんを信じていればいい。


その後、木藤さんとは朝比奈さんの事に限らず大阪支社のことや本社のことを互いに話し、コーヒーカップが空になったところで店を出た。


隣の売店で何本か飲み物を買い、木藤さんと病室に向かう途中でお見舞いに来てくれた笹木さんともばったり会った。


労災の申請のことで、立ち寄ってくれたらしい。
< 91 / 166 >

この作品をシェア

pagetop