Thistle and daisy

side:Thistle flowers

ライバルだった筈のあいつは俺の想い人となった。
いつからか。分からない。けれど好きだ。ひたすらに。

ふわりと微笑むような笑みが彼からこぼれる瞬間が好きだ。
彼の美貌が更に増して見えるから。
「二階堂」と彼が自分を呼んでくれる瞬間が好きだ。
あの突き刺さるような猫の様なアイスグレーが俺だけをその目に捉えるから。

彼はとても良い奴というものに分類される人間だ。
素直で仲間思いで意外と優しい。
眼光は鋭く目はつり上がっているから怖く思うかもしれない。
冷たい人間に見えるかもしれない。
でもそれは全く違う。とても暖かい。彼の近くは。

俺なんかと一緒で楽しいかと問うた事があった。
「楽しいぜ?どうした?なんかあるなら聞いてやるぜ。」
不満でもなんでも。と彼はその後付け足した。それに即答だった。
神は彼にどれくらいの才を与えたのだろうか。
美しく、人柄も良くて、何でもできる。非の打ち所のない人間。
俺とは真反対。

「好きだなぁ」

そう想うのの何が悪いのか。
そんな想いをひた隠しにして生きる。
批判を浴びぬように。

彼に嫌われぬように。
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