初恋~ある女の恋愛物語~
バイトが遅番で閉店まで居た日

馨さんと一緒になった

『寒いから、送ってあげようか?』

クリスマスを間近に控えていた12月

外は真っ暗だし寒さが突き刺さる冬

『本当?お願いしちゃおっかな』

私は軽いノリで馨さんの車に乗った

何の怖さも知らない私がバカだった

全ての歯車が狂った瞬間だった

馨さんは私の家とは逆方向に車を走らせた

不安が先走る

『どこに行くの?』

私の質問を、馨さんは無視して車を走らせた

そしてたどり着いたのは大きな豪邸の前

『ここは?』

『俺んち』

『え?うそ』

『うそじゃないよ』

車から降りる事も出来ないでいた私に馨さんは

『早く降りなよ』

と私に笑顔を向けた

『帰りたい…』

『取って食ったりするわけじゃないから』

そう言って、助手席のドアを開けてくれた

諦めて、ゆっくり車から降りて、自分の愚かさを恨みながら、馨さんの後ろを歩いた
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