初恋~ある女の恋愛物語~
大介は私を見つけると
コーヒーを出してくれた

ホッとする瞬間だった

『千穂、顔色悪いよ?』

大介が心配そうに
私の顔を覗く

『ううん。大丈夫』

私は笑顔を向けた

でも私の笑顔は偽物

馨さんの事が
頭から離れなかった

またこんな偶然

そんな偶然はいらない

なぜか胸が締め付け
られるような感覚

別に逃げなくても
いいはずだった

それなのに、私は
耐えられなかった

私の赤ちゃんを
思い出したからじゃない

また馨さんに
触れたくなるから…

弱い私はまたきっと
触れてしまうから…

大介が入れてくれた
コーヒーを飲み干して
私は立ち上がった
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