初恋~ある女の恋愛物語~
馨さんが待っていた

私が来るのを待っていた

部屋に入った私は
馨さんの笑顔を見て
馨さんの胸に飛び込んだ

飛び込んでしまったと
言うべきなのか

触れたかった馨さんの
ぬくもりを感じた

馨さんも私をきつく
抱きしめた

『千穂…』

そう呟く声を
嬉しく感じていた

そのぬくもりに
甘えながら、私たちは
唇を重ねた

戻れない道へまた
足を踏み入れてしまった

軽く合わせた唇は
何度も重ねるたびに
激しくなっていった

数年の余白を
埋めるように、何度も
キスを求め合った

言葉を交わす事もなく
ただ唇を貪り合った

そのたびに抱き合い
お互いの暖かさを感じた

何も考えず
ただ唇を重ねた

それだけを求めた

私の戸惑いは
それだけで吹き飛んだ
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