初恋~ある女の恋愛物語~
帰り道、なぜだか
気持ちが落ち着いた

大介の運転する車の
助手席で、周りに咲く
桜の花を窓から見ていた

綺麗に並ぶ桜並木

少しずつ花びらが
舞い散っていた

ヒラヒラ舞い散る花びら

私のワンピースよりも
鮮やかなピンク色を
放っていた

これが馨さんが
見たがっていた桜

命日でもない

馨さんの誕生日でもない

私の誕生日でもない

でも桜の咲く季節に
私は馨さんを思い出す

これからもきっと

この季節が巡ってくる
たびに思い出す

私がこの世にいる限り
馨さんの愛人だから

秘密の墓参りが
あってもいいじゃない

それが愛人だから
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