初恋~ある女の恋愛物語~
スカートを短くして
制服を着崩す

軽く化粧をして
ピアスをつける

香水はその日の気分

髪は暗めの茶色で
緩めの巻き髪

ずっとそのスタイルを
変えてはいない

そんな姿で生徒会室へ
現れる私

でもみんなは暖かく
迎えてくれる

優しく微笑んで

『遅いよ!』

って声をかけてくれる

たとえみんなの笑顔が
偽りだったとしても
それはそれでもいい

人を信じる事を
辞めた私は、人の笑顔
さえも信じなかった

中学時代の友達とも
たまに会うだけ

中学から高校まで
付き合っていた彼と
何度か会って
話をしていた

私の現実なんかを
知るわけない彼は
自分の彼女の話を
嬉しそうな顔をして
私に話していた

彼とは手を繋いで
キスをしただけ

そんな純粋な思い出

あの頃の私はもう居ない

もう彼とは釣り合わない私になっていた

引き返せない道に
入り込んでいた

『彼氏居ないの?』

色んな人に聞かれる

その質問はもう飽きた

そのたびに私は

『いないよー』

と明るく答える

『千穂がわがまま
なんじゃないの?』

何も知らないくせに…

そう思いながらも
口には出せない
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