淡く色付く恋心
入学と期待

1年4組

13度目の春が来た。今日から中学生。真新しい制服の袖はぶかぶかで、めったに着ないスカートのせいで足が風に触れて肌寒い。大きな校舎の玄関には、新一年生のクラスが書かれた紙が貼られていた。私のクラスは1年4組。1年生のクラスは3階にあり、その中でも4組は、玄関側から一番遠い第二校舎にある。ああ、面倒くさい。一番遠い教室になってしまうなんて。少し顔を歪めて、教室に向かう。玄関前で新入生達が溜まっていたせいか、まだ私しか教室にいなかった。なんて静かなんだろう。指定された席につき、「はぁ。」とひとつ溜息をついた。
「あ!真琴だぁ!同クラとかめっちゃラッキィー!」
聞き覚えのある声に振り返ると、小学校の時同じクラスだった川崎龍馬が立っていた。
「私は嬉しくもラッキーでもないけどね。」
彼とはあまり良い思い出がないため、とりあえず適当に答える。
「ひっでェ(笑)」
くしゃっと笑ったふくよかな顔。喋らなかったらゆるキャラみたいで可愛いのに、勿体無い。そんなこと言っても煽ててしまうだけだと思い、口を閉じた。
「そう言えば俺、スマホ買ったんだよねぇ!Lime交換しない?」
「川崎には私がスマホを持ってないという考えがないの?まぁ、持ってたとしても教えないけどさ。」
そんな在り来りな話をしているうちに、徐々に生徒が教室に入ってきて、だいぶ騒がしくなった。
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