キミはずっと、かけがえない人
つい、大きな声が出たじゃないか。
この人、全て調べた上で事を進めているのか。
確かに、会長の孫とやらの湖陵佑哉とは、中学の同級生であって、社会人になってすぐの頃付き合っていた。
それは間違いないけど、彼には元カノと呼ばれる存在はたくさんいるはず。
それこそ、10人はくだらない。
別れたあと、女の子をとっかえひっかえしているという噂を聞いた。
イヤ、それが事実だということも、当事者から聞いた。
だから、元カノがいいのなら他にもたくさんいるはずだ。
「元恋人ということだけじゃない。君らは、湖陵の分家だ。少なくとも家の繋がりがある。だから、安心なんだ」
「父親側ですね。でも、分家と言ってもうちは関わりがありません。それに、父親は兄弟の1番下。兄にも娘はいるはずです」
「確かにいる。だけど、それはもう40歳を過ぎている。佑哉とは年が離れすぎている」
「10歳ぐらいじゃないですか。そのぐらい離れていても、全然いいと思いますけど」