彼と愛のレベル上げ
お茶の時間までにここに戻ってくる事を考えて朔也さんのレストランには早めに行く事に決めた。


「アヤノも来てるみたいですよ」

「え?そうなんですか」

「アヤノはこっちに来すぎです。全く羨ましい」


来すぎって言っておきながら羨ましいだなんて。

なんだか最近の主任は口の悪い部分も時々現れて、素の主任を見せてくれているようで嬉しい。

くすくす笑う私に気がついた主任が「なんですか?」と少し眉間のシワを寄せて言った。

子供みたいでかわいいだなんて言ったら、何を言われるかわからない。

だから慌てて、「なんでもないデス」と続けた。





     ******




私の車を主任が運転して、朔也さんのレストランに向かう。

レストランについて、最初に出迎えてくれたのは……


「お待ちしておりました。堂地様」


綺麗な角度でお辞儀をして出迎えてくれたアヤノさん。

制服もきちんと着て、いつもなら綺麗に塗られていた爪も短く切り揃えられている。


「アヤノ、何の真似ですか?」


思いっきり眉間にしわを寄せ、強い調子で言う主任。

ほんとアヤノさんには主任はいつも冷たい。


「あら、社会勉強よ」


それでも全く動じることなく答えるアヤノさん。


「は?今更社会勉強って年でもないでしょうに」

「…失礼ね。まずはご案内から勉強させてもらっているのよ」

「志だけは立派ですね」


ほんとこの二人って仲がいいのか悪いのか。
どっちかが折れるって言う事はないんだろうか?


「それはありがとう…―
「ミレイ!お客様を早くご案内しないと」

「ごめん、なさい」


急にしゅんとなるアヤノさん。
朔也さんの一言でこんなにも小さくなってしまう。
さっきまでの眩しいばかりのオーラもどこへやら。


「さぁ、こちらへどうぞ。桃華ちゃん」


結局朔也さんの案内で席に着いた私たち。
特別な事でもない限りはメニューを見る事はない。
今日もすぐに食事が出来るよう用意がされていた。


「あぁ純哉。小さめのホールでタルト用意しておいたから」

「悪い、助かる」

「え?タルト?」

「今日はモモのおばさんもいらっしゃるって聞いたから」


まさか、あれからすぐに朔也さんに?
ほんとにまったく抜け目のない。
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