彼と愛のレベル上げ
結局花嫁修業はお料理だけで他にはしなくていいってことなんだよね?

でも、やっぱり自分磨き的な事はしたいんだけどな。

私は帰り道にまだし足りない質問を望亜奈さんに投げかける。


「望亜奈さん?他に習いごとしてませんでしたか?」

「あぁ英会話とかフラワーアレンジメントとか他にも短期のだったら色々してたけどね?」


英会話は聞いたことがある。けど


「え。そんなにしてたんですか?」

「うん、でも今は料理だけ。だって彼と過ごす時間減っちゃうからね」


つくづく望亜奈さんは彼中心だ。
今のシフトも彼に会うために遅い時間から入ることが多い。

それにしても、


「全部やめちゃったんですか?」

「んーどれも暇つぶし?みたいなもんだったしね」


あんなにやっていた合コンだってピタリと止めたし。

彼に会ってからの望亜奈さんは自然体というか、前よりずっと魅力的になった。

盛っていた髪はナチュラルに巻いて、バシバシだった睫毛も確かに濃くて眼力はあるけれどわざとらしさはない。

それは彼のおかげでもあるのかもしれないけれど、それはやっぱり…


「でも、望亜奈さんも日々努力してるんですよね?」

「んー努力はしてないけど……しいていえば彼の事を好きってことかな?」

「え、それ…だけ?」


そんなはずない。
他にも日々努力しているはず。

だってこんなにも変わったのに、それはいつの間にかそうなってたってわけはない。


「好きって気持ちって何でもできるのよね。まぁでも…好きなだけでは済まないかもしれないかな?もう、その言葉じゃ足りないかもね」


そう言って笑った。


好きを超えた気持ち。

それにたどり着いた時に私も、


「好きだけじゃ足りなくなったときに、私も……望亜奈さんみたいな素敵な人になれますか?」


いつのまにか望亜奈さんの腕に縋るようにつかまって聞いていた私。


「何それ桃ちゃん。真面目に言ってんの?」


吹き出すように言葉を吐く。


いや、こっちはほんとに真剣に。
そういう人になりたいって思ってるんですってば!


「大真面目ですっ」

「桃ちゃんが好きのその先の答え見つけた時にわかるよ」


要するに。
自分で答え見つけろってことですね。


「がんばりますっ」


だって、これもきっと花嫁修業のひとつになるんだよね?
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