彼と愛のレベル上げ
挨拶を終えると席に戻り、やっとほっと一息。

去年はたしか上司の都合で新年会に変更されたんだっけ……

たった一年しかたってないのに自分の周りは随分と変わってしまったように感じる。


一年前のあの日―――

仕事の後、用事があると言ったジュンさんは外で私を待ってたんだっけ。

当時、主任はなんて真面目な人なんだろうって思ったけど……

それでアクシデントとはいえ、二人っきりで初日の出見に行く事になったんだよね。


あれから一年か。

色々あり過ぎてあっという間だった気もする。

だけど思い返してみればまだ一年しか経ってないのかという思いもある。

そんな事を思いながらチビチビと梅酒を飲んでいると、


「天ケ瀬ちゃん、おつかれ」

「おつかれさまです、鈴木さん」


担当営業の鈴木さんは、さっきお酌しに回った時はまだいなかったから今戻ったのかもしれない。


「あー、天ケ瀬ちゃんはビール飲まないんだっけ」

「はい、私、注ぎますよ?」


「悪いね」なんて言ってコップを持ち出し持っていたビールを渡してくる。

グラスを持ち、とりあえず乾杯ねって私に梅酒のグラスを持たせた。


「天ケ瀬ちゃんにいつもフォローしてもらって助かってるよ」

「いえいえ」


担当営業が変わっただけで、私の仕事自体は何も変わっていない。

だから当然私の方が色々な情報を知っているわけで、フォロー出来るところはしてきた。


「しかし主任もさ、これ全部ほんとに一人でしてたんだよな?」

「……ですね」


主任から引き継ぎを受けた鈴木さん。とはいえ全部の店舗を受け持てないからいくつか減らしてもらったけど、それでもやっとこなしているという感じだ。


「やっぱすげーよな。ああいう人が本社にはいっぱいいるんだよな」

「鈴木さんって本社希望でしたっけ?」

「…いやームリだろ?主任が二十八で異動だよ?俺なんて三十過ぎてもダメだよ」


そう言えば、私はジュンさんがどういう経緯で本社に異動になったのか聞いてない。

だからアドバイスなんて事も出来るわけがない。


「そう、なんですかね?」

「ま、それよりさ。俺ずっと気になってた事あるんだよね」


急に声の感じが変わった鈴木さん。

気になってたって、仕事の事?
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