彼と愛のレベル上げ
挨拶を終えると、奥の席で飲み物を飲んでいた。

そこに見覚えのあるシルエットが見えてきた。


「桃。」


久しぶりに聞く潤兄の声。

お盆に戻ってきたときには会えなかったから十か月ぶりぐらいなんだけど元気そうでよかった。


「潤兄。久しぶりだね」

「堂地さん、どーも」


潤兄を見た瞬間、ジュンさんは私の手を取った。


「あいかわらず過保護なんですね」


潤兄の言葉にハラハラしながら、握られていた手にきゅっと力を込める。

別にジュンさんに文句を言おうって言うのじゃないんだろうけど、でもちょっと刺のある様な言い方だから……


「大切なものは自分の手の中に入れておきたいタイプなので、あなたもそうでしょう?」


あぁ、そうだ。ジュンさんも負けてないんだった。

だってこの二人、すごく色んな意味で似ているから。


「まぁそうですけど、しばらくは仕事でそれどころじゃないでしょうね」


潤兄はそう言うと、ハハって豪快に笑った。


それから潤兄とジュンさんは仕事の話を始めて、私ってもしかして邪魔?って言うぐらい昔からの友達みたいに話していた。

その様子にびっくりするやらほっとするやら。

やっぱり出会った場所が違えば、この二人すごく仲良くなれるタイプだったんだと納得してみていた。


「んじゃ桃。おばさんとおじさんにもよろしくな」

「あ、うん。え?潤兄どこか行くの?」

「俺、これから手伝いあんだよね。東京にいて準備とか出来なかったからその分働くから」

「そうなんだー。頑張ってね」

「じゃあな」


うん。頑張って欲しい。

潤兄も新しい未来に向かって歩いている。そんな風に感じた。


「そのうち、またご飯でも食べに行きますか?」

「え?いいんですか?」

「ええ、今の彼を見ていたら心配要素もないみたいですから。それにイトコが近くに住んでいるんですからたまにはね。あぁそのかわり二人ではダメですよ?」


その辺はやっぱりお許しが出ないみたい。

だけど、友達がまだまだ少ない私を気遣ってくれているジュンさん。


「いつか潤兄の彼女さんと四人でいけたらいいですね」

「ええ、楽しみにしてます」


いつかきっとね。



これで本当におしまい ―――――
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