ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間



「特に、何もなかったよ」  


「なら、いいけど。
お前、絶対に一人で行くなよって
俺の忠告をシカトするなよ」  


「ゴメン。
でも、本当に何もなかったよ。
ところで、とさ、や鷲尾会長から
何か条件出されたの?」  


「条件?
あったけど、それは言えない。
うちに不利になるかもしれない情報を
リークするほど俺はバカじゃないよ。
で、お前んとこにもあったのか?」  


「あることはあったけど…
それはお互い様ね。
うちも言えない」  


条件が秘書になれだなんて、心配しているハスキーに言えるわけがない。

ふと時計を見ると、11時を指していた。
そろそろハチが戻ってくるかもしれない。


「それじゃ」と言い出したところで、ハスキーが慌てて話を切り出した。  


「ちょっと待てよ。
お前が忙しいんだったら
手短に言うけど、
わかったんだよ」  

「何が?」  

「大和さんの元恋人のこと。
お前、知りたがってただろ?」  


ハスキーの思いがけない情報に、沙希は俄然興味をそそられた。



< 100 / 153 >

この作品をシェア

pagetop