エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「ですが、十分に世話をしてあげられないという罪悪感からでしょうか。実のお母さまから一ノ瀬家の息子として生きていってほしいと強く望まれ、翔さんは文句ひとつ言うことなく、嫌味にも耐えられていました。悪いのは、既婚者であることを隠して翔さんのお母さまとお付き合いをした旦那さまなのに」


坂井さんは顔をしかめる。

そんな……。
それじゃあ、翔さんのお母さんも苦しい立場だったんだ。


「翔さんの存在を知ったとき、使用人の立場ではありますが、旦那さまに苦言を申し上げました。そのとき、もう一ノ瀬家を出ていくつもりでしたが……翔さんのお世話をする者がいなくなってしまうと、そのあともお仕えしました」


坂井さんはお手伝いさんというより、乳母のような存在なのかもしれない。


「どれだけ申し上げても、旦那さまは奥さまの手前、翔さんに愛情を注ぐことはなく、唯一翔さんと言葉を交わしていたのは長男の悠馬さんでした。悠馬さんはおおらかな性格で、翔さんのことをいつも気にかけられていて……昨日も奥さまのことを大変心配されていらっしゃいました」
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