エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
会社に戻り母に一ノ瀬さんに助けてもらえることを話すと、泣きくずれてしまった。

その気持ちはよくわかる。
本当なら今頃、橋さんたちに倒産を伝えていたかもしれないのだから。


「一ノ瀬さんのアドバイスでは、当面は思いきって受注生産のみにして、規模を縮小して在庫を抱えるリスクを回避したほうがいいと。ブランピュールの洋服で注目されれば受注も増えてくるはずだから、それまで耐えてほしいと。あと、価格は絶対に下げないでって」
「下げない?」


母が怪訝な声を上げるのは理解できる。

これまで価格の安い布を扱うメーカーにことごとく市場を奪われてきたし、価格競争に敗れて今の経営難を招いていると思っていたからだ。


「そう。安い布を売るメーカーはいくらでもある。そこに飲み込まれても勝算はない。峰岸織物は品質の高さを前面に押し出して、妥協しちゃダメだって」
「そう、ね。立ち上げからあっという間に会社をあそこまで大きくした人だものね。言う通りにやってみよう」
「うん」


私がうなずくと、母はようやくホッとしたような顔をしてみせた。
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