【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。





「っと言うことがあったんですよ……」


もうすぐ夏休みがやってくる。


(せみ)の鳴き声がよく聞こえる教室の隅でコソコソと。
昨日のミア先輩との出来事をまい実ちゃんに話した。



「一時はどうなることかと思ったけど、やったじゃん詩!」


私の背中を叩きながら、嬉しそうに言ってくれるまい実ちゃん。


正直まい実ちゃんがいなかったら、ミア先輩に告白する勇気なんかなかったよ。


本当にありがとう。


   
「いいな、いいな~。私も彼氏ほしいなー。
 なんで詩に彼氏ができて私にはできないのよ」


「えっ、ひどくない?その言い方」


「冗談じゃん!おめでとう、末長くお幸せに」


「気が早いよ、結婚したわけでもあるまいし」




恋愛話にさっきまで夢中だったくせに。
エアコンが昨日から壊れている教室は地獄だと、次第に暑さにやられていくまい実ちゃんが机に突っ伏す。


そんなまい実ちゃんを横目に。


私は初めてできた彼氏に浮かれて、暑さにやられるどころか、恋の熱でより一層燃え上がる。


ミア先輩と私は付き合った……はずなんだけど。


今日一日、学校でミア先輩を見かけない。


緊張して、学校に行く前
あんなにドキドキしていたのに。



淡々と進んでいく時間に、やることといったら、授業して休み時間の繰り返し。



こんなんじゃ、いつもと変わらない。



もっとドキドキしていたのに。


先輩ってば、ほんと肝心な時には現れてくれないんだから。




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