A person who has fulfilled a wish

転校生



次の日の朝。


彼女と会った時から青い瞳が忘れられない。


こんなにも一度会っただけの人を気にすることは初めてだ。


俺は外の青空を見る。


青空は彼女の瞳の色とよく似ている気がしてずっと見ていた。


快斗「け〜い〜!」


朝からこんな俺を見てニヤニヤしながら近づいてくる快斗。


「なんだよ..」



快斗「こんなお前を見るのは初めてだからなぁー。
昨日の彼女の事か〜?」


「.....」


快斗「ほぉほぉ。黙り込むとは当たりだなぁ」


ニヤニヤした気持ち悪い顔を近づける快斗。


そんな顔を見ると顔面を殴りたくなってくる。


先生「お前らー席につけー」


担任の指示で快斗は席に戻って行った。


先生「朝伝えるの忘れてだんだが、今日から転校生がこのクラスに来る」


生徒「まじで?」


生徒「男女どっちー?」


先生「はいはい。今呼ぶよ。
入ってこい」

ガラガラとドアがスライドされて教室に入ってきたのは、、、


先生「自己紹介よろしく」



彼女はメッシュの金髪の入った黒髪を揺らしゆっくりと目を開ける、、、


「相良 琥珀。よろしく」


「っっ!」


昨日の子だ!

俺が彼女をじっと見ていると前の席からニヤニヤと俺の顔を覗き込む快斗に気づき目線をそらした。


先生「じゃあ相良の席は、、」


錦「せんせー!ここの席にどうですかー?」

元気よく手を上げて空いている席を指したののは、男女隔てなくて人気者なソフトボール部の元気な女子。

錦 夏希(にしき なつき)だった。


先生「あぁ。錦よろしくな。」


錦「はーい!」


先生「相良、あの席を使うように」


相良「、、、はい」


彼女は席に着く。


先生「じゃあこれで終わり。
あとは相良と馴染んだけどよ」


先生は教室を出て行った。



錦「琥珀久しぶりだね! 会いたかったよーっ!」


錦が人目も気にせず相良に抱きつく。


相良「抱きつくな。暑苦しい..」


どうやら転校生の彼女と錦は仲がいいらしい..。


錦「なんで? 琥珀は嬉しくないの〜?」


相良「.....」



快斗「彗! あそこに行くぞ!」


彗「は?っておい!」


快斗は机の合間を通って錦たちの元へと着き。


快斗「錦ー。その転校生紹介してくれよ!」


錦「ん?快斗じゃん..もしかして琥珀狙ってんの?」


錦はギロリと睨み琥珀を抱きしめる力を強めた。


快斗「いや...俺じゃなくて...」


ちらりと俺を見る快斗。


相良「もしかして、あんたら昨日会った2人組
?」


快斗「覚えててくれたんだな!」


相良「アホヅラの奴らでしょ」


快斗「なっ!」


彗「まぁ...そんな顔してたと思うし...」


錦「2人とも琥珀と知り合いだったんだー」


彗「昨日の放課後に学校の道を聞かれたん だよ」


快斗「まさかここの生徒になるとは思わなかったがな!」




『キーンコーンカーンコーン』

授業開始のチャイムが鳴り、生徒たちは席に着く。


彗「快斗。席着くぞー」


快斗「おー」


俺は席に着くと数学の教科書を取り出し机に置いた。

それと同時に先生が入ってくる。

先生「早速始めるわよ」


淡々と授業が始まっていく。




先生「それじゃあこの問題を、、、せっかくだから相良さん解いてみてくれる?」


相良「....」


相良は無言で席を立ち黒板の前に立ちカリカリと軽やかな音が数秒すると消え、彼女は席に戻った。


先生「答え合わせするわよ。
えーと....正解ね。よく出来たわね」


錦「さすが琥珀っ!」


錦が相良に微笑みかける。



だが、特に彼女が凄かったのは。


「ーEnglishー」


誰もがぽかんと彼女を見ていた。


本場の教室が「ブラボー!」と言って拍手をするほど。


あんなに興奮している先生を見たのは初めての事だった。


きっと彼女はこんな俺たちを見てこう言うんだろう。




相良「アホヅラ」




錦「やっぱ昔から琥珀の英語は上手いよね〜。
中学の初めて聞いた時驚いたからね!」


相良「.....」


快斗「マジでビビったぜ!
相良ってハーフか?」


相良「違う」


快斗「じゃあなんでそんな上手いんだ?」


相良「...授業聞いてれば普通に出来るでしょ



彗「その普通が無理なんだよ...」


快斗「でも、相良の目はなんで青いんだ?
日本人だよな?」


相良「.....」


急に黙り込んだ相良に錦が眉を下がった。


快斗「ん?どうしたんだ?黙り込んで」


快斗は空気を読むのが苦手、、いや、、全く出来ない。


俺は快斗を止めに入った。

あまり聞かない方がいいのだろう。


彗「おい、カイ「突然変異」


相良が話した。


相良「ある時から目と髪の色が変わったの」


快斗「髪も地毛なのか⁈」


相良「そうだよ」


彗「相良に似合ってるな」


相良「え、、?」


快斗「彗の言う通りだな!」


俺と快斗は相良に微笑みかける。


相良「あんたら変わってるね、、」


彗「変わってるのはこいつだけだよ」


俺は快斗を指差す。


快斗「なんでだよ⁈俺はいたってフツーだ!」


夏希「快斗が普通? あんたアホでバカなくせに〜?」


錦は楽しそうに快斗をからかう。


快斗「錦まで何言ってんだよ!」


快斗は錦に絡まれ可笑しくて笑ってしまった。

ふと相良を見ると錦と快斗を見つめ頬を緩めていたが、その瞳は悲しそうに見えた気がした。



< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop