うさみみ短編集
私は一人、置いてけぼりを食らった様な感覚で両膝に手を置いて肩を竦めた。





その感情は、かくれんぼでまだ一人暗い物陰にじっと見つけて貰うのを待っている感覚と似ている。





もういい加減、私に気付いて欲しいと髪の間から、教室全体を視線だけで見渡したが、皆は口々に先生のいただきますに合わせて合掌しているだけだった。






私は視線だけを右隣にゆっくりと移していくと、そこには合掌の合図の両手を合わせる手付きをする訳でもなく、椅子を傾けて首の後ろで手を組んでいる男の子。







少し吊りあがった目を細めてガッタガッタと椅子を鳴らして、無言で皆の合掌する様子を観察する様に見つめている。





まるで獣だと私は何時も思う。






吊りあがった目つき、時折意地悪そうに笑うあの口元から見える八重歯は、以前の動物番組を見ていて、餌にありつく雌ライオンにそっくりだと、やはり何時も思う。








その最強肉食動物に似た瞳がギロリと私の方へと向くと、私はまるで標的となったガゼルの様に身を竦ませて相手の視線から逃げるように視線を逸らそうとしたが「穂守(ほがみ)」と返される方が一足早かった。








つまり、私は獰猛肉食獣から逃げる術もなく、捕まってしまったのだ。









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