そのアトリエは溺愛の檻
写真を撮られること自体はこの際もう良いとする。こんなプロに撮ってもらえる機会なんて今後の人生であるかどうかわからないし、現像されたものを見ると、これが自分かと驚いてしまうし、正直嬉しかったりもする。

問題は彼がモデルをまるで恋人のように扱うことだ。

撮影中、ハグ、キスのスキンシップは当たり前。驚いて振り払おうとしても全然動かないし、だんだん私も力が入らなくなる。

それに、振り払いたいのは山々だけど、そういうスキンシップの後の方が明らかに良い写真になっているのが自分でも分かるから頭が痛い。


こんなこと、真面目に生きてきた今までの自分では考えられないけど、拒みたいのか拒みたくないのかだんだんわからなくなって来ているし、このまま撮影を進めるとどうなってしまうのか自分でも想像がつかない。


最初の撮影なんて凄かった。

あの時は、落ち着いて撮影できるようにと、あまり派手に着飾ることはせず、用意されたシンプルなロングワンピースを着て、スタジオに置かれた三連のカウチに座って撮影することになった。
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