ロベタサード

津田君と富田さん*1*




私の前には細身の男の子が座ってる。



名前は津田君。


亜古ちゃんと同じ中学校らしい。

さっきなんて亜古ちゃんに「うるさいから間に挟んで話さないで。」って怒られた。


すっごく目つきが悪くて強面だけど、キレイな声をしていた。

っていうのが第一印象。







「ねぇ、」



突然の前からの声にビックリした。



「なっ、なに?」




「…プリント。」




不機嫌そうな顔で渡された。




「ごめんなさい。」

「別に、」




そう言って背中を向けた津田君。



うん、やっぱりいい声だ。










話した内容なんてこれっぽっちも覚えてない。



ただただ津田君はステキな声の持ち主だと言うことだけは覚えた。


そんな入学式だった。
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