婚姻届と不埒な同棲
「まぁ、拓斗さんが相手ならそう上手くはいかないかもしれないけど」

え?

「な、なんでそこでその名前が出てくるの…」

「噂流れてるよ。
拓斗さんが萩花を口説いてるって。
なんなら付き合ってるんじゃないかって。
違うの?」

「ち…!」

「私も聞いたー。

拓斗さんが萩花と結婚する予定だって言ってたって聞いたよ」

あの、馬鹿!
普通黙っておくでしょうよ!
本当、感覚が狂ってるんだから!

拓斗くんのせいで噂がどんどん広まってる。
こっちが焦る。

せめて私は大人しくしておこう。

壁に貼られたポスターには今度発売される貝殻の玩具が載っている。

この貝殻のように、口をつぐんで、海の底で静かに暮らそう。
もう、誰も私の存在に気づかないで。
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