20代最後の夜は、あなたと
「でも、別に好きになったとかじゃないから。


前ほど嫌いっていうわけじゃないかな、ぐらいだから」


「べつに、好きになったっていいんじゃないの?


課長が本気なら」


「だから、好きじゃないってば」


「それ、好きだって言ってるのと同じだからね」


「違うし!」


「まあいいや、とりあえず埋め合わせとやらを期待してれば、ね」


好きになったわけじゃない。


好きになっちゃいけない。


って、自分に言い聞かせていた。


でも、ふと気づくと、霧島課長の姿を目で追ってしまう自分がいるのも事実で。


そのたびに、違うことを考えなきゃ、と頭を切り替えていた。


「宮本、どうかした?」


伊勢くんが、私の顔をジッと見ていた。


「えっ、どうもしないけど」


「先週とは様子が違うんだよな、社内コンペの発表を気にしてんのか?」



< 59 / 197 >

この作品をシェア

pagetop