20代最後の夜は、あなたと
会議室に入り、霧島課長と向き合う形で、伊勢くんと私は座った。


課長は手元のタブレットを操作しながら、考えこんでいるように見えた。


「えー、伊勢と宮本のコンペ作品が佳作に選ばれた訳だけど、二人で相談して1つデザインを考えてほしい。


単に、二人の作品のいいとこ取りだけじゃなく、まったく違うものでもいいし」


「二人で、ですか?」


伊勢くんが、確認するように聞いた。


「二人で飲みに行く仲なんだろ、別に困ることじゃねーよな?」


「はい」


伊勢くんは、キッパリ返事した。


「いいのができたら、採用される可能性もあるからな。


がんばれよ」


「はい」


霧島課長は先に会議室から出ていった。


「・・・ビックリしたね、伊勢くん」


「何を言われるのか、めっちゃ緊張した」


「とりあえず、がんばろう」


「おまえ、足引っ張んなよ」


「失礼だな、もう」


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