社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
設計図?


何の場所だろう?


隣に座る男性が広げた設計図らしき書類は、調理室とか保育室とか書いてある。


もしかすると企業内保育施設?


「胡桃沢さんをお呼びしたのは、来年度に向けて企業内に保育園を作ろうと計画してまして、是非御意見をいただけたら…と思います。…まぁ、勤務中じゃないし、堅苦しいのは無しにしよっか。

胡桃沢さんは保育士免許を持っていると聞いたので呼んだんだ。意見も聞きたいんだけど、同時に先生として働きませんか?」


棚からぼた餅、落ちてきた。


この会社内で保育士免許の話をした事はなく、もちろん相良さんにだって話していないが、履歴書を見れば分かる事かもしれない。


けれども履歴書を見たにしても、不自然。


派遣受付嬢の履歴書なんて、社内の人達には関係がないはず…。


凄い展開に驚きを隠せずに言葉が出ません。


「……えっ、と…」


「この子が和奏ちゃん?…初めまして、花野井不動産の一級建築士の花野井 煌(はなのい こう)です。大貴の彼女なんでしょ?ちっちゃくて可愛い!…そう言えば、ゆかりちゃんは?」


言葉に詰まっていると隣の男性が私の手を取って握手をしながら、自己紹介をしてくれた。


自己紹介をした後も話は止まらず、秋葉さんがいるか居ないか確認する。


「まだ仕事中だから。煌君、ゆかりに近付きすぎるから会わせたくない。胡桃沢さんをそっちに座らせたのも間違えだった…」


副社長が溜め息をつきながら、書類を手に取って眺める。


私、社外では相良さんの公認の彼女になれているみたい。
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