社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
自己完結をして納得している副社長をよそに相良さんは全く動じず、ポーカーフェイスのままだった。


車のエンジンをかけて、
「早く乗って」
と言われて助手席に押し込まれる様に乗せられた。


エンジンをかけたばかりの車は車内の熱がこもり、かなりの暑さ。


「では、また。お疲れ様でした!」


相良さんの声が聞こえて、運転席に座るなり勢い良く後方に下がる車。


こないだの運転とは違う荒っぽさに私は、シートベルトを握り締める。


会社から少し離れた場所で信号待ちで停車した時に、「すみません…」と相良さんが謝った。


車内が涼しくなってきたのと同じ位に、相良さんも落ち着きを取り戻した様で安定感のある運転へと戻った。


「……?カフェで本を読んでましたから、暇してませんでしたから大丈夫ですよ」


【本】と言っても就職求人誌ですが…。


自分に合う正社員の仕事はなかなかない事が分かり、10分でしまいましたけどね…。


「いや、待たせたのもあるんですが…副社長達も着いてきてしまってすみません」


「いえ、気にしてませんよ。それに二人が居なかったら私は相良さんとお近付きになれませんでしたから…感謝しています」
< 27 / 166 >

この作品をシェア

pagetop