愛人契約
しばらくして会社の目の前に、本田さんの車が停まっているのが見えた。

きっと、私と直接話をしたいのだろう。

でも、話す事はない。

だってもう、契約は終わったのだから。


私は会社の裏口から、出ようとした。

その瞬間だった。

誰かに腕を捕まえられた。


「先輩……」

それは、三宅先輩だった。

「いいの?彼、迎えに来てくれているわよ。」

私は黙って俯いた。

「一度、話をするべきよ。」

「話なんてそんな……何を言うんですか?」


あなたの一番大切にしている女性は、私の母親だって?

そんな事、言えない。


「だったら、正々堂々と表から出るべきよ。裏から出るなんて、卑怯だわ。」

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