愛人契約
「愛人契約って、どうすれば続くんでしょうね。」

私もパスタをすすった。

「さあね。私みたいに、相手が倒産しなければ、ある程度は続くんじゃない?」

「そうなんですか?」

「ああ、あと……」

先輩は、何かを思い出したように、口に手を当てた。

「恋愛関係になったら、続かないって聞いたわ。」

私は、ドキッとした。

「恋愛関係?」

「まあ。始まりがお金だからね。感情が入ったら、上手くいかなくなるのも、分かる気がするわ。」


私は、先輩の言葉に胸が詰まった。

もう既に、本田さんに惹かれ始めている私は、この契約の終わりが見えているんだろうか。


「日満理も、せっかくいい人見つけたんだもの。つまらない感情で終わらないようにしなきゃね。」

「そう、ですね。」

私はパスタを、一気にすすり上げた。
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