血まみれ椿姫
「おばあちゃん、あんまりよくなさそうだな」


「あぁ……」


城の言葉に俺はうなだれた。


夏休み最後の日に見舞いに来て、母親が『もう長くはないかもしれない』と言っていた時の事を思いだす。


その時はなんとなくまだ早いよなぁと思っていただけだったけれど、実際に壊れているばあちゃんの姿を目の当たりにするとさすがに辛かった。


しかも俺の友達を指さして悲鳴を上げるなんて……。


俺の事はまだ理解してくれていたみたいだけれど、いつわからなくなってもおかしくない状態なのかもしれない。


そう思っていると、気分を変えるように城が口を開いた。


「なぁ、椿姫ってなんなんだ?」


「は?」


「お前のおばあちゃんが言ってただろ『椿姫』って」


「あ……あぁ」


俺は頷く。
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