血まみれ椿姫
俺は心の中でそう思う。


3人で弁当を囲みながらも、風花はチラチラと城の方を見ている。


時折視線が合い、顔を赤らめて視線を逸らす2人。


こんなにわかりやすいのに、当人同士は気が付いていないらしい。


「俺、ちょっとトイレ」


そう言い俺は席を立った。


2人きりにすればそれとなく距離が近づくかもしれない。


「あ、おい」


城が俺の腕を引く。


「なんだよ」


「トイレなら俺も……」


「はぁ? 風花が1人になるだろうが」


俺が言うと、城はグッと言葉に詰まった。


俺が早く告白しろと急かした日から、城は必要以上に風花を意識し、少し遠ざけてしまっている。


城の背中を押すのは失敗だったかなと、思っていたところなんだ。


でも、自分の気持ちを誤魔化して2人の応援をしている俺としては、2人に幸せになってもらわないと意味がない。


俺は城をその場に残し、教室を出たのだった。
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