血まみれ椿姫
それは親族に紛れ、うなだれて立っている城だったのだ。


「城!」


思わず声を上げてしまい、クラスメートたちが外へ視線を向ける。


「来てたんだね」


隣に座っていたトモキがそう言う。


「あぁ……」


俺は頷き、泣きそうになる。


バスが停車すると同時俺は立ち上がり、出口へと走った。


外へ出ると真っ直ぐ城の元へと向かう。


「良真……」


城が俺に気が付き、顔を上げた。


いつもの元気さはないが、ちゃんと俺の事が見えているようだ。


「城……来たんだな」


「あぁ……」


城は顔を苦痛にゆがめながらも頷いた。


クラスメートたちも次々とバスから降りて、こちらへ駆け寄って来る。


みんな城の事を心配していたんだ。
< 163 / 228 >

この作品をシェア

pagetop