血まみれ椿姫
☆☆☆

それから少し昼寝をした俺は夕飯を作る音で目が覚めた。


スマホで時間を確認すると5時を過ぎている。


随分と寝てしまったようだ。


思いっきりベッドの上で伸びをして、勢いをつけて起き上がる。


一階へ降りてリビングダイニングのドアを開けると母親は夕飯の準備をしていた。


「よく寝てたわね」


少し嫌味を含めた口調でそう言われ、笑ってごまかす。


冷蔵庫から冷たい麦茶を取り出して飲むと、体から眠気が飛んでいくのがわかる。


「そう言えばさぁ」


俺は料理中の母親を手伝いながらそう言った。


「なに?」


「夏休み中、隣町で事件が起きたって本当?」


「あぁ。首を切られたって言う?」


母親がトマトを切りながら言う。


トマトは少しだけ潰れて、中の果肉がトロッと出て来た。
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