血まみれ椿姫
三宅先輩が死んだ?


嘘、だろ?


でもよく聞いてみればクラスメートたちはみんなその話題で持ちきりだったのだ。


だから誰も俺の挨拶に気がつかなかったんだ。


「まじかよ……」


「本当の事だよ」


風花が真剣な表情で頷く。


仲がよかったワケでもない、話をした事があるワケでもない。


でも、昨日偶然合った先輩が今日はもういない。


それはとても不思議な気分で、夢の中にいるようだった。


「ねぇ良真、本当に何も知らないの?」


「え、なんで?」


「だって、先輩が死んだ場所って……良真の家の目の前だよ?」


言いにくそうにそう言った風花に、俺の時間が停止した。


登校してくる間に通り過ぎて行ったパトカーを思い出す。


「……嘘だろ?」


「本当だよ。第一発見者はうちの学校の生徒だったから、マスコミより先に情報がどんどん広がって行ってるの」
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