秘密の糸Season1㊦
第67話空回り
【盟加side】

ウチはあの後、エントランスを出た。


エントランスを出ると、外で零士がタバコを吸いながら車を出して待っていた。



「おう、盟加遅かったじゃん」


その時


さっきの須藤さんの言葉をウチは思い出した。



『零士さんの誘いを引き受けるなんて…
何されるか分からないんですよ!?
雑誌に傷をつけるつもりですか!?』



その言葉が何度も何度も何度も


繰り返し繰り返し


頭の中でぐるぐる回った。


ウチはさっき須藤さんに手首を握られた部分を触った。


(…熱い)


まだジンジンと熱く熱が伝わってくる。


「…おい!!」


ウチは顔を上げた。


見上げると零士がイラつきながら煙草の火を消していた。


「…何してんだ?」


…そうだ。


もう今はもう関係ない。


須藤さんの事は忘れるって決めたんだから。


「…すみません〜!」


ウチはバッグをぎゅっと握りしめ零士の元に走った。



「乗れよ」

零士にそう言われ、ウチは車の助手席に乗った。


このあと…、あんな事が起きるなんて思わずに…。




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