秘密の糸Season1㊦
その手に励まされて、少しだけ心が軽くなった。

「聞いてくれて、ありがとうございました。」

「良いよ、もう大丈夫か?」

「はい」

「今は連絡してんの?彼氏と」

「してません…。」

あの日から私はスマホを見なくなった。

画面を開くのが怖かった。


時々通知が来る度、画面を開いた。

だけど晋ちゃんからの連絡はなかった。

それが何日も続いていた。

「…そっか。…なあ三田倉は本当にそのままで良いのか?」

「え?」

「こんな事今聞きたくないかもしれないし、
おせっかいかもしれないけど、
一度ちゃんと彼氏と話し合った方が良いと思う。」

「でも…」

私は、足が震えた。

怖い…

今更…何を話したら良いのか…。


「…怖いのは分かる、でもな
逃げてちゃダメだ。
三田倉がどうしても許せないなら、ちゃんと話し合ってそれで終わらせるべきだ。
こんな中途半端はままなのは三田倉だって嫌だろ?」

井上さんに言われて気がついた。

嫌だ…。このままなんて…。

「三田倉、自分の気持ちに逃げるな、
自分の気持ちを全部彼氏にぶつけて、
ちゃんとケリつけてこい。
大丈夫、何かあったら俺が助けるから。」

「井上さん…。」

「俺はいつだって三田倉の味方だから。」

その言葉に私は、勇気を貰った。

「ありがとうございます、私…ちゃんともう一度話し合います!」

「ああ、がんばれ!」

「はい!」

そして私は、午後からはミスをしないようにしっかり仕事をした。
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