願わくば、君の幸せ

こんなに近くにいて、幼馴染なのに……

羽斗吏はいつも私じゃない女を選ぶ。

近くにいすぎて気づかない?

そんな事ない。

だって、私は羽斗吏を好きだから。




「 デート、行っていいよ 」

「 行くかよ、スマホ探してから行くし 」

「 いいから、彼女優先!」

「 わかった 」



こんなに近くにいて、幼馴染だから気づいてもらえない。


“ 好き ”


その一言が、私には禁句。



スマホを落とした事をわざわざ隣の家の羽斗吏の部屋にまで行き伝えるほど、私は羽斗吏が好きで会いたい。

羽斗吏と家を出て見送り、寂しいと私の心が泣いてる。

幼馴染である以上、このまま……



夜、部屋にいると羽斗吏がいきなり入ってきた。



「 ちょっと、ビックリするって 」

「 あー…… 俺、彼女と別れてきた 」



まただ。



「 なんで?」

「 別に… 女はよくわかんねぇよ 」



いつもこう。

羽斗吏の別れる原因は……私。

幼馴染の私が彼女には疎ましい。

羽斗吏は彼女よりも、私を優先する事が多い。

だから、よくある事……



“ 私と幼馴染、どっちが大事? ”



そう聞かれるのが羽斗吏は嫌で、決まって言う。



“ 両方 ”



嘘でも彼女優先って言えばいいのに、羽斗吏は言わない。

それでも、私は羽斗吏の彼女にはなれない。


大切に思われてるのに……


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