蜜月同棲~24時間独占されています~
しばらくそうして固まっていると、ふっと笑ったような気配がした。


「柚香は怖がりだな」

「え?」


ふわりと旋毛に、温かい息を感じた。
びくっ、と身体が硬くなる。


けれど、克己くんはそれ以上は何もせず、ゆっくりと私の身体を押す。
よろめいて、ぽすっと座らされたのはベッドの上だった。


彼は背を向け離れていったかと思えば、クローゼットから私のパジャマを出してくれた。


「着替えはできるだろ。おやすみ」


私の膝にパジャマを置くと、ぼんやりしている私の額をぴんっと指で弾く。
そのまますぐにまた背を向け、寝室を出ていってしまった。


ぽつん、とひとり残された寝室で、閉まった扉を見つめ寂しさを噛み締める。


かつて叶わなかった、初恋の人。
ふたたび好きになってしまって、今度は諦めずに伝えられたらいいと思う。


だけど、そう思う心にすぐに、ブレーキがかかる。
克己くんが言っていた「気になる人」は、一体どういう人なのだろう。


会社の人なら、バイトをすれば会えるかもしれない。
知りたいような、会うのが怖いような、複雑な気持ちで私はワンピースの背中のファスナーを下ろした。


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