蜜月同棲~24時間独占されています~
この人とは一緒に居られない。
一秒たりともこの空間に居たくない。


そして、ふたりがそろって私に会いに来た時点で、このふたりの答えもまた、出ているのだ。


「……わかった。結婚、なかったことにしよう」


そう言うと、新田さんの顔がほっとしたようなそれでいてぐっと言葉に詰まったような、複雑な顔をした。
大方、私の方からそう言いだしてくれて助かった、というのと、さすがに罪悪感が湧いたのだろう。


中途半端な優しさはズルくて罪なのだと初めて知った。


「まだ結婚する前で良かったよね。式場のキャンセルとかお願いするね、私の親には私から説明するから要らない」

「あ、ああ。わかった」

「課長に報告するのはふたりで行かないといけないだろうけど、その他は各自それそれで処理しよう。式場のキャンセル料は新田さんにお願いします。慰謝料は要らないから」


つらつらつら、と別れるために必要な段取りが次から次へと口をついて出る。
衝撃は受けていても案外冷静に言葉が出たのは、ここで必要事項を全て解決してしまっておかなくては後々何度もこのふたりと相対しなければいけなくなると思ったからだ。


鈍ってしまった思考回路を、必死で酷使していたのだ。

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