勇気をください。
第1章 終わりと始まり。

一つの恋の終わり。

 
「常田(ときた)先輩さぁ。2年の田河(たがわ)先輩と付き合ってるんだってさぁ」
 
 
友達の仲村 梨恵が言ったその何気ない一言に、私は衝撃を受けた。
 
 
「嘘…」
 
 
私、宮下 藍(みやもと あい)は、梨恵を見て言う。
 
「ホントらしいよ。公園でキスしてたって噂流れてるし…」
 
「キス…してたんだ…」
 
「うん」
 
  
私は常田先輩が好きだった。
髪を茶色に染めてたり、
シャツを出してたり、
授業をサボる事もあって少しグレてるみたいだったけど、
一度教科書やノートを落とした時に一緒に拾ってくれた常田先輩は、
見た目とは全く違う優しい先輩だった。
 
 
いつかは告りたいとか思ってたけど、
人気者でもないし、
友達も梨恵一人しかいない自分が告っても、
結局はフられるだけだと、諦めていた。
 
 
でもやっぱり常田先輩が付き合ってたのを知ると、
悲しい。
 
 
今頃「告っとけばよかった」なんて後悔してみたり…
 
 
 
 
 
私の恋はこれで終わってしまった。
 
いつもの事だ。
 
私の恋は片思いで終わってしまった。





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