それでも、幸運の女神は微笑む
おじさんに代金を支払って、ラギアはぱくりと噛り付いた。

もぐもぐする様子がなんだか可愛くて、頬が緩んだ。


うーん。

可愛い女の子がどことなく美味しそうに食べる様子っていいなぁ。

・・・ラギア男の子だけど。





エリィさんの女装術すごいなぁ。


しみじみしていると、ごくんと飲み込んだラギアが言った。



「うん、美味しいね」

「だよね!」

「可愛い嬢ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいなぁ!」




・・・・・・おじさん、さっきよりも喜びのテンションが高いような・・・。

やっぱり可愛いって強い・・・。



「可愛い・・・」


しかし言われた本人は目を伏せている。

うん。複雑だよね。男の子だからね。



そこで気付く。

女装男子に可愛さで負けた・・・!!!

だけど妥当だと思う・・・!!!




切ない。

エリィさんにもラギアにも勝てる気がしない。





「ん?なんだ嬢ちゃん元気ねぇな?」

「ううん、なんでもない」

「そうかぁ?」

「うん」


無表情で頷くラギア。

ボルダさんは、珍しく笑顔が引きつっていた。


お腹すいた?



食べかけだけど食べる?

とパンを近づけたけど、いえいえと首を振られた。



でも笑顔引きつってるよ?

なんでもないです・・・って、その応答流行ってるの?





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