それでも、幸運の女神は微笑む
〈朝食〉

『あ!朝食か!
そういえばお腹減ったぁ』


へにゃっと笑えば、ラギアはこくんと頷いた。


〈遅くなるとなくなる〉

『嘘!?』

〈本当〉

『ま、まだ大丈夫だよね?』


ラギアはしばし考えたのち、またこくんと頷いた。


〈パンはあと一個残ってた〉

『それヤバいやつーーーー!!!』





異世界生活二日目。

私はラス1のパンを求め食堂までダッシュして———





『いったああ!?』






———滑って転んだ。



原因は廊下に落ちてた雑巾です。はい。




なんで落ちてるんだよぉぉぉぉ!!!




私にしてはけっこうなスピードで走っていたため、ずるっといってどっすーーーんとなった。

尻が。尻が痛い。

あと、女子的にどっすーーーんって音が痛い。



お尻に手をあてうめく私を、ラギアは静かな目で見ていた。


やめて見ないで穴があったら入りたいぃぃ・・・、





〈ムッシェのところ行く?〉

『う、ううん!そこまでじゃない!』

はず!!!

〈そう。
食堂行く?〉

「いく!!!」



ラス1のパンは待ってくれない!

行かねば!腹が!なる!



私はめげずに懲りずに再び走り出し、再び雑巾を踏んで盛大に転んだ。




ねぇ、雑巾落ちていすぎじゃない・・・?






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