それでも、幸運の女神は微笑む
へ?

きょとんと手を引かれた方を見れば。小さな白髪のお婆ちゃんが、真っ直ぐに私を見据えていた。




「愛し子様」

「何」


しかしどうやら話しかけたのはラギアの方みたい。

すぐさま返ったラギアの短い返答からそう推測。


にしてもこのお婆ちゃん、なんだかすごく力が強いような・・・。

手が離れる気配が全くないんだけど、これいかに。



「こちらはどういったお方でしょうか?」

「昨日連れてきた」

「なぜでしょう?」

「さあ。気まぐれ」

「愛し子様、恐れながらも言わせていただきますが、身元の怪しい者をこちらに入れることはできません」

「ああ、そうだったね」


淡々とした声。

なのになぜだろう、なんだか冷たく感じた。



「身元がしっかりした、お前たちの懐を温める者しか入れないのだった」

「な・・・なにを」

「俺が知らないとでも?
今まで俺に逆らわなかったから見逃していたけど・・・逆らうんだね?この“俺”に」

「っ・・・滅相もございません!!!」



私の手をパッと離して、突然土下座をしたお婆ちゃんに目をむいた。

な、なにが起こったの!?




「ら、らぎ、らぎらぎ・・・」

「行くよ、アサヒ」

『お婆ちゃん無視!?』

〈自業自得だから〉

『そうなの!?』

〈そうなの。
さっさと行くよ〉

『う、うん・・・』


私はお婆ちゃんを気にしつつも、置いていかれたら困るので、ラギアを追った。

自業自得って、この短時間で何があったんだろう?




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