極上の愛をキミへ
あたしが靴を脱ぐのを見計らい、朝比奈は部屋の中へと足を進める。


「あの、どうやって部屋の中に?」

「此間お前の部屋の鍵、借りて帰ったから」

「鍵があれば、人の部屋に勝手に入るんですか?」


あたしの問いに、朝比奈は何も言わずにこちらを見る。


「なんですか?」

「いつもの、お前だなぁと思って」


何、意味のわからないことを・・・


「どういう意味ですか?」

「会えないって言ったお前の言葉が、会いたいって聞こえたから」


朝比奈の言葉に、ドキッとした。


「なんですか、その、よくわからない言い訳」


都合が悪くなり、朝比奈から視線を逸らす。


「今日のお前、途中から変だったし」


全てを見透かしているような朝比奈の態度に、動揺を隠せなくなる。

< 116 / 285 >

この作品をシェア

pagetop