月が綺麗ですね
私の教育係にしても、飯塚さんはライバルだから不適合と言うわけだ。勝ち組の三浦さんなら、意地悪をすることもなく教えてくれる。恐らくそんな判断があってのことだろうと推察します。はい。


いやいや、飯塚さんだって私がミスをしたら、それは彼女の責任になるわけで副社長の奥様の座が遠のいてしまうのだから、さすがに酷いことはしないと思うけど?

他の秘書さんたちだってきっと同じ理屈で意地悪はしないと思うんだよね。


...けれど私の知らない女の世界がここにはある。


品定めをされるために集められた美女。
花嫁に選ばれるために、必死な女性たち。

確かに選ぶ方は、良いのかも知れないけれど。

なんだか下らないな。



やはりとんでもない所に私はぶち込まれてしまったらしい。


でも...。


「玉の輿に乗るかどうかは別として、私は職務を全うするだけです」


深い溜息とともに、私は三浦さんに答えたのだった。
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