月が綺麗ですね
配属初日の午後。三浦さんと遅い昼食を取り秘書室に戻ると、そこには飯塚さんと北林さんしかいなかった。

どうやら残りのメンバーは同行で外出をしているようだ。


「そろそろよ、行きましょう。進藤さん」


飯塚さんに声をかけられて、私は一瞬戸惑う。


「は...い、えっとあの?」


呆れたような冷たい視線が私に降りかかる。


「携帯を見てちょうだい」

「はいっ」


慌ててデスクの上にある社内用携帯を手に取る。


そこには『あと約15分で到着』の表示があった。

発信者は副社長の専属運転手の山下さんからだ。


「あっ」


飯塚さんの言葉の意味を理解すると、既に秘書室を出て行った飯塚さんの後を追う。
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