真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
通話ボタンを押した瞬間、胸に緊張が走った。

しかし。その後は、それ以上緊張を味わうことは無かった。

カウントを重ねる呼び出し音に緊張する間も無く、彼女が電話に出たからだ。

予想に反して彼女の声は弾んでいた。というか、俺以上に彼女の方が緊張をしているような声色だった。

その様子に、俺はひとまず彼女に何事も無く、そして、拒絶されていないことが分かり安堵した。

ずっとLINEが既読にならなかった理由は、”風邪を引いて丸三日寝込んでいたから”だそうで。

それにしては。鼻声でもないし、掠れ声でもない......。

おそらく。俺からのLINEの通知が来た時点で、返事を迷っている間に時間が経ってしまい返信しずらくなったのだろう。

とにかく。彼女の身に何事も無くて良かったーー。

それ以外の理由なら、俺は彼女に好きになってもらえるように努力を重ねるだけだから問題はない。むしろ、手を焼くくらいで良い。

それくらい俺にとって、彼女は魅力的な女性だ......。


”いいですよ。花火大会行きましょう”そう返事をしてくれた彼女は、受話器の向こうでどんな表情をしていたのだろう?

俺は買い被っているのだろうか?

LINEが三日も既読にならなかったというのに。少なからず彼女は俺が好きになった、あの透明な笑顔を浮かべてくれているような気がした。

そう思えるほど、彼女の声は弾んでいた。

もっと、彼女に近づきたい。

昨日の今日で朝一番に彼女へLINEを送ったら鬱陶しがられるだろうか?

男は追いかけたい生き物だ。

俺が彼女を追いかけるのは、彼女に恋をしているからだ。

この気持ち、うまく伝わるだろうか......?

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